名前も知らない年配の女性(ロマンスグレーのおかっぱ、以前のチーズの人とは別の女性)と道端で会った時に会話をするようになったのは、たぶん2回目か3回目の朝市で、とあるお店で私の隣にいた彼女が挨拶をしてくれたから、なぜ挨拶してくれたのかというのは、私は気候が寒くなるまで夫の人が利用しているバス停まで散歩がてら毎朝行っており、ま、アジア系の顔の人はまーったくいなかったので覚えやすかったのだと思う、いつもバス停に来ているでしょ?というのから始まったのである。
その後彼女とは、休日の散歩中に偶然会ったり、他のバス停で偶然会ったり、金曜日の朝市に向かう途中、彼女は帰る途中でたまに会ったり、というので、連絡先も知らない彼女に会えるのはいつなのかわからないんだけれども、彼女に会うと、彼女はいったん立ち止まってしばらくお話をしてくれる。ドイツ語はどう?とか、今年のスイスの気候はちょっとおかしいのよ、とか。日常生活のことを少しずつ。私が主婦をしているということは知っているので、時間があるなら語学以外の習い事をしてみるというのもいいと思うわ。そういうクラスがたくさんあるから。今書くものを持っていないけれど、今度会ったら書くもの持ってくるから教えるわね。というので、それから1か月ぐらい過ぎた。そして今日、朝市で偶然会うと、なんと、いろんなところで開催されている習い事の資料を一式渡してくれた。ネット上にあるものはプリントアウトをしてくれて、メモを書いてくれていたりしていた。朝市のたびにそれを持っていてくれたんだと思うと、うれしくてたまりません。それで、彼女と知り合って数か月目の今日、初めて名前を知ったのである。彼女の名前はAileen。こういう親切というのは、とてもありがたい。あぁもうどうしよう、と思ってしまう。