スイスの気候は、湿度は高くないが、日差しは日本のそれとは違って、じりじりと照りつける強いもの。天気が良い日は、老若男女、幼児も含めサングラスをしている。私たちの黒い眼でさえもずっとしかめっ面かつ眉間にしわを寄せていないと耐えられないので、色彩の薄いブルーやらグレーやらグリーンやらの彼/彼女らの眼はサングラスなしには耐えられないのだろうなと思うのと同時に、フィンランドだかノルウェイだかスウェーデンだかつまりは北欧も日差しが強いらしいので、そこ出身の犬は往々にして毛が目を隠すような種類になっておりビカーンと照りつける太陽を避けるべくできているのであることを思い出して、みんな、あの犬なのだなと思いながら歩く。
でも、つい先週まではどんより曇り空。うんざりするほどの曇り空。どうしようもない曇り空で、はっきりせんね!と空に向かって言いたくなるような天気で、気温も低く、体調も悪くなるわけで、ずっと頭痛が止まらなく、ある日、朝起きて、あ、これは吐くな、と思っていたら、案の定リヴァース。リ・バースではない。私にとっての頭痛と嘔吐は連携が抜群で、コーナーキックからヘディングによるシュートが確実であるように、ほぼつながっているのである。そして全体的な痛みから今回は左目の奥の上あたりに頭脳警察がわらわらわらと出てきて、夫の人をベッドから見送った後は、延々と寝る。一日で治るかと思われた頭脳警察は、週末の散歩では右上に移動してなんかやっているので、一息入れつつ散歩。文字を追うとぐるーりぐるーり(モニカ・ベルッチが出ていたあの映画の最初のよう)となるので、読書をすることもできず、ソファーに寝そべって呆けるしかなかった。ま、今年はいくたびの頭脳警察が出動し、いくたびの嘔吐が待っているのやら、と考えていたら、昨年も結構やっていたな、と思った。

山羊の視線は分からず、イノシシは日陰で寝ていた。