eine Musikrichtung

NHKFMの「今日は一日◯◯三昧」で先日は「今日は一日プログレ三昧、再び」であった。私は他の多くの物事がそうであると同様にプログレについても全く知らないに等しく、やれプログレだと言われても幾つか耳にしたことのあるプログレというジャンルの音楽について、メタル?クラシック?え?とへんちくりんで大仰な音楽であるなあという印象しか持てずそのまま放置していた。とは言えど、夫の人はへんちくりんのプログレの中でもこれまたへんちくりんのジャーマン・プログレのCDは持っている。しかしながら、これもどんぴしゃにジャーマン・プログレを好きになったのではなくて、私のいい加減な解釈によると、シカゴ・ハウスから始まるダンスミュージックからのデトロイト・テクノ、ヨーロッパへ派生してのジャーマン・テクノ、この大御所のManuel Göttsching、彼がグループの一人であるAsh Ra Tempel←ジャーマン・プログレ、ようやく行き着いた、という訳でしてその他、Neu!、la Düsseldorfを好むようになったという流れである。そういえば、"Düsseldorf---"と歌詞が入る曲はKraftwerkでありましてこれはプログレではありませぬ。
さて、プログレ三昧。ゲスト出演者の宮武さん曰く、プログレファンはプログレが好きであることを公言することがままならず、普段抑圧されていて、まるで隠れキリシタンのような存在である、と。それ故なのか、リスナーの皆様からのリスエストに添えられたメッセージがプログレに対するままならなぬ愛をぶつけられている気がした。抑圧からの解放。それでまた、リクエスト曲もよくまあ見つけてこられますなといった具合の、リクエストした本人すらそのアーティストの読み方すら分からぬ、イスラエルの、アイスランドプログレインドネシアではハレの目を見ることが出来ずイタリアからリリースされたインドネシアプログレ(結局売れなかったのか?)等々。アイスランドプログレアーティストにいたっては、当該大使館へその読み方を伺ったところ、実は、大使がこのファンであるという驚愕の事実も判明。食事などで家に呼ばれたら、「俺の好きなアーティストだ、聞いてみてくれ」などと、食事中に、いや、食後のキャフェ−中に流れるのであろうかと思うとニヤニヤしてしまう。インドネシアプログレは、やっちゃった感満点の、民族音楽に必要性の全く感じられないさわやかな女性ボーカルを散りばめたレイジ・アゲインスト・ザ・マシーン風味のメタル音楽といった、どうしてこれを一曲にまとめてしまったのかという疑問点の浮かぶ音楽であった。嫌いじゃないけど。また、ゲーム音楽作者にはプログレファンが多く、ゲーム音楽宅録感がどうしても出てしまうのは致し方なないが、バンドで演奏がなされれば、紛うことなくプログレであるということであり、はたまたライブは、超豪華メンバーの、と言っても私が知っているのは山本精一さん、ミトさんくらいなのでありますが、ファン垂涎のライブであったでしょう、事実、演奏なされた音楽は研ぎ澄まされて美しく、素晴らしく、音源として売られたら絶対買うばい!と言った具合であった。
また、プログレそれ自体は、プログレを聞きながら何かをするということはできない音楽、つまり何も手につかない、何も考えられないというのがプログレの判断基準のひとつであり、例えば車を運転しながらのプログレを聞くというのは稀な行為であるとのこと。私はこの番組を聴く前までは、冒頭のようにプログレに対しての思い入れは全くなく、なんだプログレか、まあ、聞いてやろうじゃないか程度の気持ちで斜に構えていたが、プログレ判断の基準のひとつであるように、お昼寝もままならぬ手に汗握りながら、約10時間も拝聴していた。前回の山下達郎の比ではなかった。プログレの罠にかかってしまったか。