24日

計画停電:18:20〜22:00(実際は早めに電気が復活)

市が行っている「FU・RE・A・Iメール」に登録すると、その登録したメールアドレス宛にじゃーん(これはマックの起動音)と市の計画停電をやるかやらないか、all or nothingかというのを前日に知らせてくれるというシステムを最近知り登録する。これはいちいちネットでどうするのするの?しないの?どうなの?ばかなの?と計画停電を心配することなく一日のスケジュールを、といっても、私などは、昼寝オア無昼寝というくらいのスケジュールではあるが、考えられる。

いつもは交通量の多い道路も最近はやはり少なくなっている。今まで車で通勤をしていた人たちは一体どこへ行ったのだろうか。そのなかで、大型トラックが走っているのをみると、ゆけゆけ、被災地の隅々まで物資を運んでくれと心のなかで唱える、いや気分はむしろ、永ちゃんのライブでタオルをぐるぐる回しているような、エックス・ヤーパンののライブで、手を交差して「エックス!」という動作をしているような気持ちである。とはいえ、どちらのライブにも行ったことありませんが。

18:20〜22:00の停電では、この時間の前に入浴をし、熱いココアを飲んで、腕周りの動作が困難を極めるくらいに着込んで、外見はミシュラン・タイアのあれで、さっさと寝床で丸まった。しかし早すぎるので、眠たくなったら消すという呪文を自分に唱え、ろうそくを持って寝床で本を読む。仰向けで読む分にはろうそくの光で十分間に合うようだ。でも眠気がいつ襲うや分からないので、ろうそくは消して、懐中電灯を枕元のライトの上に乗せて読む。

図書館で借りた本、面白い。

「男として、人間として、今さら選べるものならば、俺はコルセットを取る。しかしブラジャーの威力には平伏せざるをえない。頭に突きつけられた銃を誰が否定できる?コルセットが蛹ならブラジャーは毒蛾だ、二十世紀を跳梁した残酷な女神だ」

 これが真のコルセット危機で、しかも市場には代用となる上流階級御用達の下着があった。この原始的ブラジャーは売れに売れた。コルセットに使われるはずだった二万八千トンの金属は軍需産業に流れ、兵器と化し、能力相応の数の兵士と民間人を虐殺した。第一次世界大戦は大量殺戮兵器の発表会だ。また女性に工場勤務を強いた初めての戦争でもあった。動きを制限しないブラジャーは生産効率を上げ、ブラジャー圏の国々によるいっそうの殺戮を促した。二つの大戦に跨る三十年間に、ワーナー社がブラジャー特許から得た金は、千五百万ドル以上に及んだという。ジャコブに支払った金の一万倍、当時の世界経済の規模を思えば、これはマイクロソフトが扱う数字にも等しい。

 二十世紀が築いたのは虐殺体の山脈、そしてブラジャーの海だ。無差別殺戮、冷戦、核の脅威、環境破壊、テロルに内戦に、経済破綻。二十世紀の絶対的勝者は?ブラジャーだ。快進撃は今も続いている。今やパミール高原少数民族の小娘だってブラジャー選びに頭を悩ませている。ふうん、トキオが気のない相槌を打つ。本当は知らん。行ったこともそういう女を抱いたこともない。ふうん。

バレエ・メカニック (想像力の文学)

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