今、語学学校は夏休みなのであるが、夏休みに入る最後の授業の帰りに、イェユーディット(イスラエル出身の50代の女性)が、「Wiedikon(ヴィーディコン)にあるお店に買い物に行くんだけど、あなたの帰る方向もこっち?」「そうよ。」というわけで一緒に歩いた。Wiedikonはうちの家から歩いても20分くらいのところで、散歩もちょくちょくしているところ。彼女のお宅の位置はというとチューリッヒ湖の左岸なわけでしてちょっと距離がある。
ちなみに、以前授業の最中に、タイ出身の人が週末にお寺に行ったという話から、ちょっとした宗教の話になった。公の場やレストラン等で宗教や政治の話をするのはタブー何じゃないかなあ、と思ったのだが、先生もそれはまあおいといて、いろんな国の人が集まるのはそんなにないことだから、というような感じで、それぞれに聞いていって、仏教だったりイスラム教だったりキリスト教でもカトリックだったりと、話は続いたのだが、さて、彼女の番。「私はこういう場では政治と宗教については話さないの」と言うので、先生が「それはわかっているわ、でもね、お互いにどんな宗教を信仰していて、どういうときにどういうことをするのか、というのは興味があることだとおもうの。」とやんわりと言っていたのだけれど、やはり彼女は話してくれなかった、ということがあったのだ。

それで話はもどるのだけれど、途中で家の方向に別れようと思ったのだが、「こっちのスーパーには売っていない野菜が売ってあるから一緒に行ってみない?」というのでもちろんもちろんということで向かった。その近辺は彼女が以前住んでいたところで、お気に入りのお店もあっていろいろと教えてくれた。中古品を売っている(しかし新品と紛うくらいきれい)お店に入って、陶器のケーキの型を見つけるけれども、「ガラスだったらいいんだけれど、陶器は新品でないといけないのよ、残念。」と、言ったので、私が彼女にかかわることについて、ユダヤの人であることについてインターネットでだけ、だけれども調べたことは本当であるのだなと思った。さらに、「その前に肉屋に寄るんだけど、あなたはこのスーパーで待ってもらってもいい?」私は肉屋についてもこれまたちょっと調べていたので、おそるおそる「もしよかったら一緒に行ってもいい?」と聞くと彼女はもちろん、と答えてくれた。そのお肉屋さんは道路に面しているけれども、結構小さめで、入ってみると、きれいに整頓された肉屋で、みんな白い上着をパリッと着ていて、彼女は常連さんなんだと思います、彼女が入るとみんなやあやあという感じであった。店員さんの一人はいわゆるユダヤの格好をした人で、彼女はみんなに私を紹介してくれた。ユダヤの人の食品に関する規定というのは、コーシェルとかいうらしく、食べてよい食品はカシェルといい、ヘブライ語で「適正な」という意味。簡単に言うと、お肉に関して言えば豚はダメだし、屠殺方法も決まっているようで、血が滴っているものは絶対だめなんだそうです。乳製品も一緒にとってはいけない。ガラス製品は乳製品を飲んだ後でも他の飲みものを入れてもOKらしいのですが、陶器は乳製品を一度でも持ったお皿でほかの料理を盛ってはいけないらしいのです。だから、彼女はお店でああいうことをいったのだなあ、と。
そのあと、スーパーに寄ると、彼女はいろいろなスパイスを教えてくれて、オクラはオクラで通じるのに驚いたり、オクラは練りごまで和えて食べるよというと、練りごまも使うの?イスラエルでも使うのよ!とこれまた驚いていた。実際に練りごま売っておりました。この次回はこの練りごまを試してみよう。美味しいのならあの日本韓国食材店で馬鹿高い練りごまを買わなくてすみます。練りごま、、。
そんなこんなでカフェーに入って、彼女から若いころの話を聞かせてもらった、3ヶ月間ヨーロッパを旦那さんとバックパッカーとして旅行したり、その時のお金の苦労やら、モントルー・ジャズフェスティヴァルでマイル(@ haruki murakami)の演奏を見たことや(すごい)。とか。なんやら。そしてなんといっても授業の時では話してくれなかったユダヤにまつわることについてもいろいろ教えてくれた。
宗教は難しい。そしてようわからん。そしてたくさんの人が死んでいっている。何かの信仰で何かを救うことなんてほんのわずかなんだと思います。それでも、2000年も前に、2000年ってすごいよ、発生したことがいまだに続いているというのは、そして、今だに争いの種になっているというのは、ある意味驚きです。もっとどうかならんかねー、ねえ、にんげんよ、とおもうのですが、私がすることと言えば食べ物を腐らせないこと/残さないこと。物は大切に扱うことかな、と。

驚いたことに、その時私のしていた格好が彼女に言わせると「とてもユダヤ的だわ」とのことでした。ほうかーと考えてみたら着ていた服は川久保玲さんでしたよ。