WanderWeg(ハイキング用の道)だけでなく、サイクリング用の道も張り巡らされているし、自転車を買いましょうと早々になったのであるが、日本と同じ感覚で、自転車屋さんに行くと、1500CHFなど、ゼロの桁が日本のそれより多いものばかりでいわゆるママチャリというものは一切なく、MIGROのBudget自転車(BudgetはMIGROの中でも安い部類の商品)でさえ、300CHFなのである。しかもこの自転車はロード用であり、Budgetと大きく書かれたラベルがはがせるのかと思いきやMIGROで確認したところはがせそうもなく、さて、どうしたものかと途方に暮れていた4月。ハイキング先でツールドフランスにでる選手のようなバシッとした格好の方々が、マウンテンバイクにまたがり必至の形相で砂利の坂道を漕いでいる姿に羨望のまなざしを送っていた5月。いろいろな自転車屋さんにいってSALEになっているものを見ても500CHFってあなた、と自転車に対して押し問答の6月。Melanieがうちに来た時に自転車に乗ってきたのですが、その自転車は両親から誕生日に買ってもらったというので、それくらい自転車は高価なものなのだなと改めて感じた7月。そして8月。吟味に吟味を重ねていたところ、ある日ふと手に取った無料の新聞(Zürichには4種類の無料新聞があります)に折込まれていた広告をみると、納得プライスの素晴らしいマウンテンバイクを見つけました。マウンテンバイクのことはよくわかりませんが、サドルを支える部分がばね状になって浮いているもので、ようは下からの衝撃を吸収してくれる機能が付いており、ハンドルの右には重さ軽さの調節、左には変速ギアがそれぞれ7段階付いておりました。Damienに聞いてもそれは買いだよ、と言っていたし、一期一会の出会いかもしれませぬので、お店の場所をグーグルさんに尋ね、ひとりバスにのり事前調査に向かいました。店頭で素晴らしい輝度を放って陳列されている彼(ドイツ語では男性名詞なので、彼、とします)に会い、細かな部分をチェックしてこれは買いでしょう、と鼻をふくらませて帰宅の途につきました。

いざ購入の日。天気もよろしく夫の人とお店に出向き、お店の年配の女性の店員さんに、バイクを買いたいのというと、それはナイス、クールね!といっていたので、あのバイクはクールなのでしょう。お店で梱包を外し、お店のまわりで試しのりをして、家までの5kmを乗って帰りました。しかしながら、帰るなり気づいたのです。私たちはママチャリは乗ったことはあるものの、マウンテンバイクは乗ったことがありません。前傾姿勢の乗車スタイルであることが基本のマウンテンバイクは、お尻に近いところの股の骨にダイレクトに振動があり、帰宅すると、股の肉が痛いのではなくて、股の骨が痛いのでした。その日のうちにサドルに取り付けられる衝撃吸収ジェルシートを購入しました。自転車に乗っている人やとまっている自転車をよくよく見ると、こちらの自転車は日本のそれのように、地面に対して垂直に着座して運転するようなものはほとんどなく、むしろハンドルよりサドルの方を高くしており、数限りなく微分をした地面に平行な体勢で運転をしていることがわかります。皆さん、私たちのように最初は股が痛くなかったのかしらと思います。目指せ、アイアン・メイデン
後日。
自転車は週末しか乗りませんが、2週間ほど近所を乗り、鍛えた、特に股、結果、Dietikonまでの往復20km(坂あり、向かい風あり、砂利道あり)を乗れるようになりました。そこで食べたサンドイッチは格別でした(ちなみに今回は、ひよこ豆カレー・ピクルスサンドとアボカド・ドライトマトモッツァレッラ・卵サンド)。しかしながら、また、気づいたのです、腕の筋肉と背筋がとても重要であることを。腕は振動で血行が良くなったせいか、途中、腕の痒い所を掻きながら走りました。股はもういたくありません。マウンテンバイクは乗る側の筋力も求められる乗り物なのだな、と、いろいろ気づくことがたくさんあります。でも、斜めのところを走っても全く滑らないし、ハンドルの細かい動きを素晴らしく反映してくれるので、いちいち感動しながら乗りました。