秘書さんに書類をいろいろ渡され、Kreisbüroと銀行口座の開設に向かった時の話。

Kreisbüroは日本でいうところの町役場のようなところ。ここで住民登録をしないと、住むことはできないし、銀行口座を開設することもできない。

Kreisbüroに行くとなんとお昼休みの時間。終了時刻の13時30分まで近くのベンチに座ってぼぉっとする。日本では街中でベンチを見かけることはほとんどなかったが、Zürichはいたるところにある。世界一地価の高いといわれるZürich駅からZürichseeまでのBahnhofstrasseはなんかはベンチがたくさん並んでおり、何をするでもなく、座っている人がたくさんいる。

で、Kreisbüroの話。

外装の古い印象からは内装の機能的なインテリアは良い意味で裏切られつつ窓口に行く。
ごっつい、いかついお姉さまが対応してくださって、はぁっ(素晴らしく大きなためいき)、や、やれやれ(半目にして首をふる)、といった雰囲気をおおっぴらにされながらも滞りなく手続きが進む。「いい?今から言うことはとても重要。まずこれからあなたたちに仮の住民登録票を渡すわ。それで、私には正確にはいえないけれど、1ヶ月かそこらしたら、お上から私たちの所に正式の住民登録票が届くの。そしたら、あなたたちの家へと書面を郵送するから、またここに来なさい。その時に、その郵送の書類と写真をもってきてちょうだい。いい?わかった?それで、この書類の名前、だけ、を、確認して、間違いないか。」というようになり、名前だけをチェックして間違いがなかったので、一人45CHFの登録票を支払い、仮の登録票を手にKreisbüroを後にする。

次にほこり高きスイスの銀行の一つUBSに向かう。

窓口に行き、銀行口座を開設したい旨を告げると、上の階の部屋に通され、説明を受ける。日本の仕組みと若干違うもののこちらも滞りなく話が進む。
書類がプリントアウトされ、サインを求められたので、私が横からのぞき、書類を確認すると、「あ、住所が違う」というのに気づく。よくよく確認をすると、Kreisbüroのあのいかついごついお姉さまは、住所登録を私たちの家ではなく、家主(不動産屋)の住所にしておられました。二人ともあいた口がふさがらない。銀行員に秘書さんからもらった書類の一つと、仮の住民登録票を見せ、間違った住所が登録されていることを告げると、「私には、この仮の登録票が正式なものなの、でも仕方ないわね、住所変更という手続きでするわ。でも、正式な住所が書かれた登録票を持ってきてちょうだいね。」ということで話はおさまった。さて、Kreisbüroは16時30分までしか開いていないので、急いで向かう。
今度は窓口のお姉さまは違う方だった。ついさっき、登録を済ませて、仮の登録票を発行してもらい、それを持って口座開設のため銀行にいったら、住所が違っていることに気づいたこと、また、この住所は家主のものであることを、秘書さんからもらった書類とともに提出すると、「オオオ!」と言っていた。私たちもすべてをチェックしたなかったことに落ち度はあるが、いかついごっついお姉さまは「Check this paper, ONLY YOUR NAME!!!」と言っていたのを私は覚えていますわよ。でも、お上に出すべき書類はまだ出されていなかったので、その場で修正してもらった。ちょうど、あのいかついごっついお姉さまが隣の窓口にやってきたので、応対しているお姉さんが、ドイツ語で、あなた、間違っていたわよ。という雰囲気のことを伝えると、一切私には間違いはないわっ、というような雰囲気のことを言っておられた。ドイツ語は分からないけれど、雰囲気でなんとなくわかるのよー。おねえさま。

でまた、UBSへ戻り、改めて仮の登録票を提出した。

でも、この修正の手続きもすぐ済むことができてよかった。今後、ネット開設の申し込み、保険の申込などをするのだが、すべて迅速に処理がなされていたことは感動に値します。村上春樹の「遠い太鼓」を持ってきていたので、それを読むと、イタリアだったら、ギリシアだったら、、、と考えるとぞぞっとする。


なお、この日からアパートメントでの生活が始まるので、その後、急いで掛け布団とシーツと枕を買い、部屋の掃除、譲ってもらったもろもろの家具の組み立て、設置も行い、なんとか暖かいベッドで寝ることができた。もちろんベッドにもテリブルなことがあったのだ。

組み立て式のダブルベッドを譲りうけ、運ぶために分解していたものを再度組立ようと試みた。しかしながら、すべてのねじが回しても回しても(右ねじ法則)緩んでいる。これでは、グラグラしていて、寝ている最中に抜けてしまうかわからなかったので、ベッドの枠はあきらめて、ベッドマットを支えるための板(ex. すのこの大きいもの)だけをベッドに使うこととした。しかしながら、不幸中の幸いか、こちらの方が素晴らしくよい。

そんなこんなで、スイスに来て3日目はテリブル三昧だった。