Sun Ra Arkestra@ Rote Fabrik in der Schweiz

中心街より西側かつZürich湖沿いにRote Fabrikという建物がある。Fabrikはドイツ語で工場という意味を持っているようにこのレンガ造りの建物はもともと工場として機能していたのであるが、今はそこにバーがありクラブがあり小さな美術館やライブ会場といった機能を果たすものになっている。
このRote Fabrikの特に火曜日の夜は面白い音楽を演奏する人たちを呼んでライブを行うというのらしいが、その中で私が行きたいなと思ったのは、Acid mothers templeの& the melting paraiso U.F.O.バージョンだったか、& the cosmic infernoバージョンだか忘れてしまったが、とにかくAcid mothers templeがやってきていた。行けなかったが、、。しかしながら今回は同じく宇宙に関するといえども、土星からやってきたという人たち、SUN RA ARKESTRAのライブに行ってきた。私はこのバンドというかグループというかコミューンというかこの集りについては、その名前と中心人物のHerman Poole BrountことSUN RAが亡くなった今でもこの集りは続いているということと、日本ではTrue people‘s celebrationというフェスティバルに来ていたということしか知らず、ほとんど知らないに等しいのだが、私がこれまでに行ったライブの順位の一番上をあっという間にかっさらって行ってしまった。何ですかこれ。赤と金色のスパンコールをギラギラとさせたマントを羽織って(なんせ土星からきたんですから!)登場してくる10人はしょっぱなから私の口をあんぐりさせてくれました。
1950年代から現在までのジャズの歴史をあの3時間で見たといっても過言ではありません。スウィング、ビ・バップからモダンジャズまでそして今の、たった今の音まで。テナーサックスの方はもうね、John Coltraneかと思いました。ビビりました。なんですかあの音は。この耳であの音を生で聞けるとはもう鼻血ものです。アルトサックスの方は60歳くらいだと思うんですれども、途中でんぐり返しをして、両手を床については両足を天井に上げるというのを数回繰り返し、私たちが音楽を聴きながら踊るような踊り方とは全く違った踊り方をしていました。ああいう踊り方は見たことがありません。そして歌もびっくり。私が持っているCDでいうならばCount BasieのBasie in Londonに入っている曲にある歌い方を思い出しました。うっとりするほど甘く甘く人工甘味料たっぷりなスウィートな歌い方で返ってコーヒー豆をそのままかじっているような苦さを感じてしまう歌い方。さらにボンゴも頭を永遠に振り振り叩きました。みんながみんなマルチプレイヤー。そしてなんといってもMarshall Allenです。何ですかあのサックスの音は。たまりませんね。楽器と本人の関係がそれぞれ別物ではなく、本人の延長のような気がしました。
Space is the Placeの曲で最後のある個所をBlack Man got in the White Houseと歌っていたのがとても印象的でした。Space is the Placeというだけに彼らにとっては本当に居場所がなかったんだと思います。それだけにBarack Obama氏がアメリカの大統領になったということはとてもとても重要なことなのでしょう。ましてはMarshall Allenはがっつりと人種差別という歴史を見てきた人なのでしょうから。何せ彼は1924年生まれの御年84歳。84歳ですよ。そんなに年取って見えんかった。家に帰って年齢を確認したとき、彼は永遠に生き続けるんんではないかと純粋に、無垢な気持ちで思いました。さらに、彼が演奏をし続ける限り、私は年をとったなんて言ってはいかんな、と思いました。本当に。