Zürich Hauptbahnhof(チューリッヒ中央駅)からZürichで一番高い場所、Uetliberg(ユートリベルク)まで列車に乗り、そこから尾根沿いを延々と歩く。


大きな地図で見る

いつものように列車に乗ると、今回はやたらと木製のそりを持っている人たちが多い。途中の駅から乗車してくる人たちもそりを持参。大きさも大・中・小あるみたいなのだが、その木製のそりに限っては形が全く同じなので、どうも作っているメーカーは同じようなのである。メイド・イン・スイス。はたから見ていて、スイスの人はスイスが大好きなのだと思う。アパートメントのベランダからはスイスの国旗を垂らしたりしているし、老若男女問わずスイスの国旗がデザインとして入っているキャップやニット帽をかぶっているし、赤いコートや赤いマフラーを着用している人は結構な数である(ま、これはお洒落と言われればそれまでだが)。日本において国旗を垂らしたり、国旗を感じさせるエトセトラであると、え?そっちよりですか?と思われてしまうであろう。しかしながら、スイスにおいては私が感じる限りそういうことは思わない気がする。はて、ハプスブルグ家に当時のスイスの農民たちが負けなかったからであろうか?大きな国に囲まれている中でスイスという国が成り立っているから、つまりはみんなで勝ち取ったという感覚があるからであろうか?いずれにせよ、スイスの人はスイス好きなんだと思う。それがなんだかやあねえ、というのではなく、むしろ目を細めてほほえましく感じてしまうのは私だけであろうか。

で、列車の車窓からの眺めは美しい雪景色であり、列車の中はそりを持った人でいっぱい。理由はUetlibergの駅に降り立ってから判明した。雪の積もってない時は通常の道だったところに雪が積もった今はそりに乗って滑られるコースに変わっていたのでした。そりはドイツ語でder Schlitten(シュリッテン)。der Weg(ヴェーク)は道。そりでシャーっと滑っている人たちを横目にてっぺんまで登る。今日の日は快晴で、寒いけれど太陽の光の具合のせいか、遠くのアルプスが近く見えて圧巻です。





それから尾根沿いに延々と歩き、途中、止まって食べると凍え死んでしまいそうなくらいなので、歩きながらサンドイッチをほおばる。歩きながら食べるのって慣れていないので、歩くための呼吸と食べるための呼吸が、感覚としては一心同体になるように合わせないと、息がつまりそうになる。鼻の穴をふがふがさせながら食べるが、なかなか難しい。



足で踏みしめる雪は場所によってさらさらだったり、きゅっきゅとしたり、凍ってつるんつるんだったりと、延々と雪の中を歩く経験というものがあまりない生活をしてきた身にとっては、体の中のいろんなところに変な力が入って、格好だけは山用ジャケットに山靴に、と決まっているはずなのに、結局のところはへっぴり腰でへたへたと歩いた。延々と歩いて一応予定の最終地点の場所では、雪のない季節は牧場であった丘が、というのは家畜小屋とサイロがあるから、雪が積もった今は、絶好のスキー場ならぬそり滑り場になっていました。そしてあのメイド・イン・スイスの木製のそり所有率は高かった。