日本からスイスに戻るとあの私にとっては悪名高きマロニエの樹はがらりとその葉の色が紅葉しており、はらりはらり、しなりしなり、と地面に落ちていく様は美しくその他の街路樹もあれよという間に紅葉していた。いろんな形の落ち葉があり黄色や橙色やそのまた中間のなんともいえぬ色に染まっている落ち葉があり、同時に地面は地面が見えないくらい落ち葉にあふれている。

というわけでスイスは秋です。

栗やらくるみやら柿やらかぼちゃらきのこやらが朝市に並び始めます。え?柿?そう、柿です。”Kaki”の名で売られています。購入したのは少しばかり実が長めのKakiで、包丁で切みると種がなく、味が濃く、ねっとりと甘いKakiでした。日本でよく見かけるような柿の形のKakiもありますが、なんとなく見た目の色が日本のそれとは違い、皮の橙色の上が白っぽい種類でした。

きのこについては、そのきのこの種類が何者かを知らぬまま買い、塩と胡椒シンプルにいただきましたところ、笠の部分はふわふわしとし噛むとじゅわっと美味しさが染みだし、軸の部分はこれまた触感がちがい双方とも鼻血が出るほどのおいしさでした。この美味しいきのこ、ドイツ語表記ではSteinpilz(シュタインピルツ)、が一体何者であるのかがわからないので、辞書で引いてみると、和名は山鳥茸(ヤマドリダケ)。まだまだわかりません。もう少し調べてみると、イタリア語ではPorcino(ポルチーノ)と出てきました。なんとポルチーニ(複数だとPorcini)だったのでした。こんなにたくさんのポルチーニを一度に食べたことがなく、初めてあなたの味を意識して食べたわ、ポルチーニ!とポルチーニに対して申し訳ない気分になりました。確かに若干価格は高めの設定ですが、如何せん季節ものです。毒を食らわば皿まで、ポルチーニと私の間に悪魔の取引がなされたのは言うまでもなく、季節が終わるまでしぶとく買い続ける予定。